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No09. 車中泊 カーネル vol.14

伊豆半島を巡る

Part9 都会派のリゾート半島 



<<< 2012年9月10日発売 >>>



 カーネルSTAFF writer ・ photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
1957年生まれ。広島県在住。地元のパソコン講座の講師を務める。
四輪駆動車専門誌のレポーター・カメラマンで活躍中。
高校時代からひとり旅が好きで、徒歩・自転車・単車・電車・車を使い沖縄県を除く日本を1周。
2001年より趣味のカメラで「朝日と夕日撮影」を目的に三十数回に分けて総走行距離約6万キロを走り、2010年5月の北海道旅で日本2周目を終えた。現在は日本3周目(撮影旅は2周目)に挑戦中!・・・。

過去に伊豆半島は周遊したことがある。
修善寺のサイクルスポーツセンターには広島から2度行ったことがあった。
しかし、伊豆半島の朝日と夕日撮影のためには訪れていない。
私の撮影旅として日本地図にポイントを落とすため行くしかないだろう。
<<<P58とP59>>>

伊豆半島は都会派のリゾート地。
この「距離なら行ける」片道700kmを目指す

伊豆半島は海や山や温泉ありの首都圏に近いリゾート地だ。私にとっては南国で旅館・ホテル・民宿・別荘地が立ち並ぶ観光地のイメージだ。
日本の各地にある半島としては都会派的な感じで大混雑が予想され、私のような田舎ものが行くところではないかなと思っていた。別の言い方をするなら関西人からすると、そんなに距離があるわけではないが、行くとなると遠く感じる場所だ。
例えばクルマで片道1000km以上を走るとなると、計画のはじめから「遠いなあ〜」と認識するが、広島の家から伊豆半島までの片道700kmだと「この距離なら行ける」とも判断できる。
今までも行きたいところの候補地には挙げるのだが計画を思案しているうちにボツになる。
私の場合、5月のゴールデンウィークにクルマで走ることが前提なので、東名高速道路は避けたいと考えてしまう。以前に、紀伊半島や知多半島や渥美半島を目指した時に、名神高速道路はスムーズに走れると経験はしているが、ゴールデンウィーク中のテレビのニュースなど東名高速道路で大渋滞をするのを見ていると、渋滞に合うくらいなら別の所へ行こうとなるわけだ。
あえて今回は伊豆半島を目指したがどうなったことか?


ゴールデンウィーク中の半島の最南・石廊崎は思ったより遠かった

仕事を済ませて家を出たのは21時30分。どこまで走れるかは身体との勝負である。家から300km過ぎた(滋賀県大津市)あたりで、疲れがドット出て眠気が襲って来たのでPAに入り仮眠した。ぐっすり寝て起きたのは5時30分。疲れも取れてイッキに伊豆まで400kmを走るはずであったが、名古屋を過ぎて、豊田JCTで十数キロ、豊川から三ケ月JCT(新東名高速道路のJCTは凄かった)あたりの二十数キロがノロノロ走行で、私としては、高速道路での渋滞は初体験となった。高速道路で停車するなんて笑いが出るほど馬鹿げた話だ・・・恐れ入った。10年以上も、ゴールデンウィーク中に全国の高速道路を走って、まったくと言っていいぐらい渋滞という言葉すら知らなかった。東名高速道路で名古屋から東京に向けて走った事がなかったからだ。
沼津ICまで380kmを8時間以上もかかった。しかし渋滞は高速道路だけではなく、沼津ICからで降りたとたん修善寺に向かう10kmも大渋滞。さらに伊東市から下田市あたりまでクルマの列ができトイレ休憩もできないほど駐車場もクルマで満杯状態。沼津から石廊崎の駐車場まで110kmを6時間もかかってしまった。


過去の旅では、九州だと家から鹿児島市内まで650kmを9時間。北陸道や東北道を走ると、家から能登半島の見付島まで670kmを10時間。家から下北半島の大間崎まで1600kmを26時間で走った経験(2時間は連続運転・トイレ休憩・食事・給油・少しの仮眠)からすると、家から石廊崎の800kmを21時間はかかり過ぎだ。
ま〜あ、だんだんと歳も取り体力が衰えて仮眠も長くなり運転が長続き出来なくなった事も理由だろう。
そして関東圏のリゾート半島は、半端な車と人ではなかったのは間違いない。
世間一般に言う大渋滞を経験できた。
あとから撮影で一緒になった方と話をしたら、GW中には東伊豆は走るものではないと聞かされた。



撮影旅の1日。
撮影場所を探して朝3時から22時まで走り回る

旅の最大の目的は、太陽を追いかける撮影旅。今回の旅では、朝日が2回・夕日が3回。撮影できる回数は最大で5回。天候次第で0回にもなる。
伊東市から南下する時に雨が降り始めて石廊崎付近での夕日1回はなくなった。長旅で体を休めるため温泉“銀の湯”に浸かって近くの道の駅“下賀茂温泉 湯の花”で就寝とした。
起床は3時50分と少し早起きして暗いうちから空の状況見ながらクルマを走らせ、撮影場所を探す。なんとか石廊崎近くの漁港から撮影でき7時前に終了。普通の旅なら、この時間帯から観光地を目指すだろうが、私の場合は、撮影場所探しが始まる。まず、次の朝日の位置を決めるため下見をする。今回は石廊崎の先端と決めていたので歩いて確認。次には夕日撮影場所探しで西伊豆の海岸線を北上。“あいあい岬”〜“旅人岬”まで35kmを2時間かけて走り、もう一度確認のため“恋人岬”〜“石部の棚田”〜“夕日ガ丘”〜“あいあい岬”へ昼食をとりながら約5時間かけて撮影場所を限定するため南下する。2時間ほど仮眠をして17時30分頃から夕日撮影となる。現地に立ってみると周囲と太陽の位置が大幅に違い予定変更。再度、地図とニラメッコして、下見していた第2候補地で20kmほど北の“雪見”へ走る。危機一髪、あわゆく夕日撮影のカウントを落とすところだった。明日の朝日撮影のため再び石廊崎に戻る。石廊崎にもっとも近い駐車場で就寝したのは22時を回っていた。

--- メモ --- 記事に掲載されてません。
起床は、2時50分。前日の日の出は4時40分。石廊崎まで徒歩で40分。逆計算で日の出前の1時間前には現地に着きたいので3時に出発する。石廊崎まで機材20kg強を背負って歩くのは辛かった。太陽を追いかける旅とは、このような連続で体力勝負となり思う以上に過酷(朝早くから夜遅い)なスケジュールをこなしているのだ。



たまには美味しいものも食べてみたい?

今回のように一定の範囲内での旅となると、昼間や夜中に大移動はなくなる。そうなると、観光と美味しいモノを探せることになる。伊豆と言えば、古い町並みで歴史漂う小京都“修善寺”と日本文学の金字塔“伊豆の踊子”の舞台の旧天城トンネルなど中伊豆を探索することにした。
感動したのは、旧天城トンネルに通る道がジャリ道で側溝もU字溝ではなく石で積まれて山水も流れ苔が付いてゴミもなく整備されていたことだ。天城トンネルは2001年6月に、「天城山隧道」として道路トンネルとしては初めて国の重要文化財に指定された。その時に従来舗装されていた舗装が剥がされたそうだ。森の中に静かなたたずまいを見せていた。
その後は修善寺の“禅風亭な々番”の暖簾をくぐった。名物の「禅寺そば」を注文すると、天城産の特大ワサビ1本がドカ〜ンとお膳に乗っかっていた。どうすればいのだと店員さんに聞くと、切ったワサビの葉側を下ろすと苦くないと親切丁寧に説明してくださった。店の雰囲気も良くそばの味・秘伝のそばつゆ・地の山菜・山イモなど大満足だった。そばのお代りもしてしまった。



--- メモ --- 記事に掲載されてません。
半島を走っているとチラチラ見えていた富士山をもっと見たいと“伊豆の国パノラマパーク”から葛城山へロープウエイ(全長1800m)で空中公園へ散策だ。天気も良く大パノラマの光景を見るとGW中の人混みを差し引いても許せるほど納得のいく景色だった。観光も美味しいものも食べて旅気分を満喫した。
朝6時過ぎから走りまわったが、まだ14時過ぎ・・・。
さ〜て、これから本旅の最終撮影の夕日撮影場所を探すため西伊豆の“煌めきの丘”“出逢い岬展望”“碧いの丘”“旅人峠”と下調べのため走った。
最終撮影地は青い海に突き出す“大瀬崎(ビャクシン樹林)”で、富士山がドッカ〜ンと見える景勝地で撮影して旅を締めくくった!
全走行距離は1962kmだった。


 <<<58・59ページの写真の説明>>>
(上)
キャプション 01 57ページの上大きい写真
天城山隧道(旧天城トンネル):国の重要文化財 トンネルを走ると時間が逆戻りしタイムスリップしたように感じられた。

キャプション 02 
小説「伊豆の踊子」の舞台となった名所。作家の川端康成の代表作で叙情的な作品であり道脇の左の大きな木の横に石碑が立っている。

キャプション 03
天城山隧道は1904年(明治37年)に完成。標高708.7m・全長445.5m。アーチや側面などすべて切り石で建造され、石造道路トンネルとして日本に現存する最長。

キャプション 04
下賀茂温泉にある町営の“銀の湯”。2日連続で入浴できたので男女日替わりの湯めぐりもできた。100℃の源泉の湯けむりが立ち昇るのには驚きだ。最終時間までいたので夜景モード写真となった。

キャプション 05
伊豆半島最南端の突先に縁結びの“熊野神社”、その奥手50mに海の安全を見守る“石室神社”が帆柱を枕に断崖絶壁の上に立つ社殿がある。
キャプション 06
石廊崎の石室神社と熊野神社の間で崖の上から朝日撮影。相膜灘の大島付近から4時58分の撮影。突先の西側は突風で風も冷たい。朝早いのに何人もがこの瞬間を見に来ていた。

キャプション 07  58ページ 上の大きい写真
伊豆半島の南端“大瀬港”よりの朝日。半島のいたるところで釣り人が居る。もっと望遠で撮影すると飛び出た地形に別荘だろうか? 建物が点在していた。


キャプション 08
1200年の歴史薫る小京都を散策した。修善寺に訪れたことで世間一般に言う伊豆へ行って来たと言うことができるのかな?

キャプション 09
伊豆での美味しいもの。修善寺の“禅風亭 な々番”の「禅寺そば」。西伊豆土肥八木沢“食事処 澤”の「海鮮丼」。やっぱり地元の食材を食べると旅気分も倍増する。
キャプション10
西伊豆の“雲見温泉”国道135号の「彫刻ライン」の海に突き出た所から北西に日没後に見えた富士山。夕日を見ていた地元の方が思わぬ場所に突然と現れたのを教えてもらった。

キャプション 11
“煌めきの丘(井田地区)”から望む村・田んぼ・海・富士山はこの上ない絶景だった。この景色は「第10回 日本の美しい村コンテスト」で入賞している。

キャプション 12
“伊豆の国パノラマパーク”から葛城山452mの山頂からは富士山と駿河湾を一望に見えて遠くは南アルプス連峰の大パノラマが広がっている。ローピウエイでは40分待ちだった。


(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>>
現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。

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