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車中泊 カーネル vol.13

軽ワンボックス・バンで走る

Part8 
九州2100kmをバンで走る 


<<< 2012年6月8日発売 >>>



 カーネルSTAFF writer ・ photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
1957年生まれ。広島県在住。地元のパソコン講座の講師を務める。
四輪駆動車専門誌のレポーター・カメラマンで活躍中。
高校時代からひとり旅が好きで、徒歩・自転車・単車・電車・車を使い沖縄県を除く日本を1周。
2001年より趣味のカメラで「朝日と夕日撮影」を目的に三十数回に分けて総走行距離約6万キロを走り、2010年5月の北海道旅で日本2周目を終えた。現在は日本3周目(撮影旅は2周目)に挑戦中!・・・。

今回はジムニーから軽ワンボックス・バンに乗り換えて車中泊の旅をした。
商用で使っているクルマの車内にベッド用の床を取り付けただけなので、
カスタマイズの費用は30,000円ですんだ。
小さいながらも車中泊の宿として抜群の快適空間を得ることができた。
<<<P60とP61>>>

30年前にも軽ワンボックス・バンで車中泊をやっていた

実をいうと三十年前にも、軽四の箱バンに乗っていた。キャンプを主体として遊んでいたころで、アウトドアという言葉が最盛期だった。
ガラスサンルーフ仕様んぽハイルーフ車の後部座席を外して木材を使って床を高くし、引き出し付きの物入れえ取り付けた。床の上には1畳分の畳を敷き、窓にはカーテンを付けていた。
毎週、渓流釣り(フライフィッシング)のために釣り場まで夜中に走って行きクルマで寝ていた。当時は車中泊という言葉はなく「クルマの中で寝ていた」という表現だったかな?。
そんな事を思い出しながら、は商用で使っている軽ワンボックス・バンをベッド仕様とするために影旅に出かける1ケ月前から少しずつ車内の改造をしていた。
今回の旅は5泊6日で鹿児島を中心に桜島〜知覧〜池田湖〜開聞岳〜山川砂むし温泉〜指宿〜佐多岬を巡った。帰路は宮崎県を北上して青島〜高千穂峡〜阿蘇山(外輪山を1周)〜阿蘇噴火口と走り広島に戻った。全走行距離は2100kmの旅だった。
クルマは商用車のため3速AT仕様なのでと高速走行には少し不服を感じたものの、ジムニーに比べるとベットの広さも2倍の面積を確保でき、ゆったり寝ることができた。雨・風がしのげて、カメラ機材が搭載でき、足を伸ばせて睡眠ができれば大満足の旅だった。車中泊用にカスタマイズした費用が3万円ほどと思いのほか懐に優しい改造だったことも満足度をさらに高めた。


旅の疲れをとるには、足を延ばして寝ること

岡村流・・・ 安全の第一は、疲れや眠気が起きたら速やかにクルマを停めて目を閉じること。そして仮眠をさうるなするなら、足を真っすぐに伸ばして寝ること。
ジムニーで10年以上6万キロを車中泊(百数十泊以上)をしながら撮影旅をして、無事故無違反で健康も崩さなかったのは、疲れたら「足を延ばして寝る」「中途半端な姿勢で寝ない」を実行したことだ。車中泊の旅を前提とするならば、言葉通り寝れるスペースを確保しておくべきだ。
今回の軽ワンボックス・バンは、その点を重視して後部はすべてベット空間とした。シングル掛け布団と敷き布団を使える広さで睡眠も普段の生活と変わらなくできた。小さいながらもハイルーフなので床を20〜30p高くして座った状態て頭が天井にあたらない。もっと大きな車なら常識なことだろうが、私の場合は軽ワンボックス・バンの広さでも申し分はなかった。ジムニーと比べる方が一般的ではないと思うが、車内空間は広々として快適な旅だった。
今回のカスタマイズでは、車内で火を使っての自炊は考えてない。雨が降ればコンビニ弁当か地元の食事店に入ると決めている。それでも好天候なら景色の良いところでゆっくりと車外でガスコンロで火を使って自炊ができるように準備はしている。今回の旅でも自炊は4度できた。 外での自炊用に、組み立て式のテーブル、椅子、食事道具、水10リットルを収納し、サイドテントも用意してある。
また運転席がリクライニングでき、後部はゴミを収納する部分を5枚の板で構成して外せるように工夫をした。


体験談
車中泊中、暴走族に10年で3回遭遇!

車中泊中に、男性でも怖く、迷惑で腹タダシイのは深夜に暴走族の騒音に悩まされることだ。
私は10年間に3度出くわしている。
1回目は夏の暑い頃、小高い丘の広い駐車場で車高の低い車が4〜5台来て30分ほどキュルキュルとクルマを回し始めた。この時は他の車中泊車も6〜7台駐車していたので不安は少なかったが・・・。
2度目は11月と寒くなり始めたころ、大きな橋の駐車場で車中泊をしていたら、遠くの闇からクルマが爆音とともにやって来た。この駐車場には暴走できないように凸の金具も取り付けてあるにも関わらず、その間を上手に走っていた。遠くにクルマが去ったかと思うと、また暗闇の中を車同士がレースをして数台が何度も走ってきた。
3度目は5月の連休中で、名高い観光地の広い駐車場で車のタイヤの轍がまったく付いてなかったので車中泊の場所に選らんのだが、夜中1時過ぎに、大型の数台のバイクが、ブルン・ブン・バリバリと凄いアクセル音でやって来た。うるさくて耳を塞がなければいられない。バイクが去ったと思ったら今度はクルマが3台、キュルキュルとタイヤを滑らしながら走ってきた。同じ仲間かと思ったが別々のようで、広い駐車場にタイヤの丸い型をクッキリと残した。外を見ようにも恐ろしくて布団を被っていた。次には広場の横に200mはる直線道路がレースのスタート地点となった。暗闇の山間部を爆音が走った。その後、クルマから出てきた若者の大きな笑い声とともに花火が始まった。朝になって、調べて見るとクルマの近くまで花火のカス(ロケット弾)が散らばっていた。花火が始まって1時間以上たったころ、なぜか急に静かになった。こわごわ、外に出てみると黒いベンツが駐車場に停まっていた。どうやら若者たちは黒い高級車に恐れなして去ったようだった。
その時に駐車場には3台のクルマが逃げることができず、残されていた。
本当に出くわしてしまったら、動こうにもどうにもならい。直ぐに移動すればという人もいるが、現実は脅えているまま何もできない自分に気が付かされる。じっとしていることを誰もが選ぶだろう。「危害を与えないでくれ」と祈りながら・・・。男ならと思うが手も足も口も出ない。最悪の事態を想像してしまう。携帯電話で警察を呼ぼうと考えても実行に移せない歯がゆさ。この野郎と思うが静かにしておこうとなるわけだ。
こんな怖い状況に2度と遭遇したくないと思ったが3度も経験してしまった。

車中泊の場所選び
●暴走行為をする人から避ける方法(岡村流)を教えよう。
@人里離れた広い駐車場や広場は避けること。
A人里から離れた外灯がなく辺鄙なところ。海岸線沿いの暗闇の駐車場は危ない。
Bクルマの描いたタイヤの後が付いているところは要注意。
C辺鄙でも車中泊しそうなクルマが数台停まっているところは少し安全。1台では絶対に停めないこと。
D男性でもhとり旅であることをわかりにくくすること。ましてや女性はひとりとは絶対に悟られないこと。
●反対に安心で車中泊するためのコツ。
@かなりの確率で安心できるのは道の駅、高速道路のSAとかPA。
A人が近くにいる人里の付近。
B明るいうちに車中泊の場所を探しておくこと。
Cクルマの中が見えないようにする。女性の場合は外から男物の衣類や持ち物などを見えるように配置すること。
 但し、必ずしも成功するかどうかは保証できません。自己責任において行動してください。

余談だがローリング族にも1度出くわしたことがある。
夜中1時過ぎに峠を下っている時に、コーナー付近に数台が駐車していたが、少し下ると凄い勢いで駆け上るクルマに遭遇した。この状況ではクルマを寄せて停まるほかない。レースしているようではなく、コーナーリングの練習をしているように見えた。恐る恐る通らせてもらった感じで思わず頭を下げてしまった。深夜の峠付近の坂道は気を付けて走行してください。

 <<<60・61ページの写真の説明>>>

キャプション右ページの上の大きな写真
阿蘇草千里ヶ浜
鳥帽子岳中腹に広がる草原から阿蘇中岳火口付近に登る朝日を狙う。残念だが真っ赤に焼ける阿蘇を捉えることはできなかった。(2011年5月の朝景)

右ページの左の上の写真
米塚(標高は100m程度)
米塚は草千里下の草原にある小山で小さな火口丘の跡。頂上には直径約100m、深さ20m程度の河口跡が残っている。後方には阿蘇外輪山が見える

右ページの左の中の写真
開聞岳(標高924mの火山)
鹿児島県の薩摩半島の南端に位置する。見事な円錐形の山容から別名「薩摩富士」とも言われている。
陸地から海に飛び出たカタチは何度見ても綺麗で美しいとしか言葉がでない。

右ページの左の下の写真
佐多岬に行く道路で「佐多岬ロードパーク」内の北緯31度線の塔。年平均19度と暖かさで亜熱帯の位置とする。エジプトのカイロやアメリカのニューオリンスなどが同じ緯度の都市。


右ページの下の中の写真
SUZUKI キャリイバン ガラスサンルーフ付 ハイルーフ(Eタイプ) 昭和57年購入 4サイクル 543cc。内装は高級ファブリックシートやカーペット敷きと豪華仕様。我が自家用車だった。

左ページの上の大きな写真
開聞岳の夕景。この砂浜に立つのは記憶では3度目かな。もちろん夕焼けに焼ける空を背景にシルエットの開聞岳を狙うが、5月の黄砂でモノクロトーン。これでもカラー撮影なのですよ。

左ページの左の上のベット制作中の写真
後部座席を外して、少しでも多くの荷物が載せるようにしている。後部座席部分にはカメラ機材を搭載。運転席と助手席以外の後部は平らな床(123×174センチの広さ)で、この上にクッション材、敷き布団を敷く。下部にも荷物が入る。

左ページの左の下のタイヤ跡の写真
上写真
ローリング族だろうかこの坂道のコーナーにタイヤの跡が付いていた。この道はかなり印象深く残っている。
下写真
夜中に、単車と車が一晩で付けたタイヤの跡。この観光地に関係者の方が見るとガッカリするだろうな〜あ。若者の話声の言葉使いも地元のようだった。本当に残念でならない。

(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>>
現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。

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