車中泊 カーネル vol.11 ★四万十川・カルスト台地を巡る★ Part.6 四万十川の源流を目指す <<< 2011年12月10日発売 >>> |
日本三大清流は柿田川、長良川、四万十川と呼ばれている。 その中でも日本最後の清流といえば、四国の四万十川。 名声が高い四万十川の源流と河口を紹介しよう。 |
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<<<P54とP55>>> 四万十川源流を目指す 四万十川は高知県の西部を流れ、全長196kmと四国で最長の一級河川だ。水環境の保全状況が優良だとして環境省から“名水百選”に選定され、さらに、自然環境保全と地域活性化の取り組みが評価された。“平成の名水百選”にも選定された。また、四万十川流域に関わる人々の生活が特有の景観として文部科学省からも“重要文化的景観”として認定されている。四万十川はそれぞれの文化を育み形成している母なる大河という存在だ。 いままで撮影旅で幾度となく横切り、源流地点から河口までの川沿いをクルマで2度も走っている。しかし、朝日と夕日撮影はなかなか撮影はできなかった。9年越の挑戦で、平成22年夏に四万十川付近で太平洋から昇るデッカイ朝日をゲットできた。長年の夢だった朝日が撮影できたことで、四万十川の発端の源流点がどんなになっているか気になった。クルマで行ける源流近く行っているが、歩いて行ける源流地点はまだ見ていない。旅人としては四万十川を「見た・知てる」とはいい難く、心のモヤモヤを晴らすため歩いて源流を目指すことにした。 源流地点は緑の世界だった 四万十川の源流点がである「不入山(いらずやま)」は、四国カルスト県立自然公園の東南に位置する標高1336mの高峰。不入山の東斜面に源を発し、主な支流35(支流総数318)を飲み込み、四国西南地域を大きく蛇行しながら落差の少ない流れとなって、四万十市下田で太平洋に注ぐ。 カルスト台地を南下し津野町の国道197号線より県道378号線(東津野仁淀線)を源流地点の看板を見ながら集落通り抜け、四万十源流センター「せいらんの里」を過ぎると折り返した林道を突き進む。林道は数年前に全舗装され、“四万十川源流の碑”がある地点まではクルマで行ける。 さらに徒歩でしか行けない“源流地点”を目指す。碑の横から沢筋の木や岩の間をぬうように傾斜面を登る。沢に入った瞬間、森の静けさに透き通った水が流れ清流の音が響く。不入山は神秘な霊山として人々に深い尊厳と信仰を集めている山だ。さらに登ると “幹線流路延長196kmの流れここに発す”と標柱が立つ場所到着する。こここそ四万十川源流点だ。 源流点というから水は岩の間から湧き出ているのかとおもいきや、小さな滝の如く水量は豊富だった。そこの空間は岩には苔がつき緑色と化し奥深い森で別天地のようだ。さらにその先の流れが二股に別れていて、「エッ、右と左のどっちが源流なの?」と疑問が湧く。仕方なく持って来たペットボトルに右と左と合流した水を3種類に別けて汲んだ。家に帰って3種類の味を確かめようとリュックに入れ持ち帰ることにした。 四万十川の本流が気になり「せいらんの里」で昼飯を食べた時に施設の方に聞いたら左は渇水時には水の流れは無くなるが右側は枯れることは無いと聞き右側が本流と解った。危なかった・・・右と左の水を汲んでおいて良かったと安堵した。 源流の水でコーヒーを沸かして飲んだ 沈下橋とは、増水時に川に沈んでしまうよう設計された欄干のない橋で、四万十川には支流も含めて47の沈下橋がある。 四万十川の沈下橋で一般的に知られるのは中流域にある全長100mを超す長い橋でポスターやテレビに登場する。これらの橋は過去に何度も渡ったことがある。今回は、四万十川でも一番古いとされ源流から4番目にある“一斗俵沈下橋(いっとひょうちんかばし)”が見たかったので上流から順番に見ていった。 家に持ち帰り飲むことを考えていたが沈下橋から流れる川面をみていると無性に源流地点の水が飲みたくなりコーヒーを沸かすことにした。 どうせなら沈下橋の一番歴史の古い橋に決めた。それが“一斗俵沈下橋”というわけだ。クルマは通れない生活道にもなっている橋で、コーヒーを飲む準備をしていると近所のおばちゃんたちが通りぎわに「こんにちは・・・」と笑いながら挨拶を下さり、この雰囲気はOKだと認識した。 この風景のなかで源流点の水で沸かしたコーヒーはなんとも言い難く、“森に降った一粒の雨が不入山の地中に滲みて地上に流れ出て小川から大きな川へとなる”という碑文が思い出された。ここから百数十キロを流れ、太平洋へと続くのだと考えると気の遠くなり、自然の恵みに感謝した。 天空の地で車中泊 実は、四万十川の源流に向かう前日は、“四国カルスト台地”からの朝日を狙っていた。私の旅では太陽絡みにならないと撮影旅は成立しないのである。 日本三大カルストとして山口県“秋吉台”、福岡県“平尾台”、そして“四国カルスト台地”が代表だ。仕事を終えて約3時間かけてカルスト台地に到着し「満点の星」にカメラをセットした。夜間の気温が低く防寒着を用意しいなかったため、寒くて数枚のカットで断念した。 広い駐車場で車中泊することにして、寝たのは午前1時前で起床は4時半過ぎ。今回で6回目だが思い通りの朝日には遭遇できていなかった。 でも朝日を拝めてだけでも喜んだ。標高が高いので天候が崩れると雨は下界から吹き上げ、霧が出ると2〜3m先も見えない。しかし、晴天となると360度四国の山脈が見渡せる。 両方を見た者(勝手に自分が)はここを“天空の地”と呼んでいる。 |
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<<<54ページの写真の説明>>> 源流地点 この山に源を発する「不入渓谷」の最上流域が四万十川の源流点で、昭和62年(1987)に当時の東津野村(現津野町)と全林野須崎分会が合同調査を行い、渓谷の標高1200m地点に<四万十川源流域合同調査実施記念>の標柱を設置した。 <上> “四万十川源流碑”設立由来碑より ・・・我々は此の川を創造した不入山を限りなく栄埒すると共に清流の恵みに感謝し此の川が日本最後の清流として永く人々に愛され親しまれ不変の生命を持ち続ける事を願って・・・ <左> 源流地点の標柱 キャプション@に説明があるので省略 <上> 車を停めて源流地点を目指す。歩くだけなら片道25分程度。撮影しながら往復2時間と自然を満喫した。 <下> 車で行ける源流地点。過去2回ここで断念していたのだ。 <<<55ページの写真の説明>>> 四万十川の汽水域(淡水と海水が混在する)は全国に例を見ない豊かな水域で希少魚種等の宝庫。河口の防波堤から昇る朝日で右側が太平洋。 <上> 「一斗俵沈下橋」は1935年(昭和10年)に架けられた四万十川で一番最古の沈下橋。 <左> 源流地点の汲んだ源流水(もちろん右側)でコーヒーを沸かして飲んだ。 四国カルスト台地 愛媛県と高知県との県境で標高が約1400m、東西に約25kmに広がる。 |
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(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>> 現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。 CHIKYU−MARU 株式会社地球丸へリンクします |
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