車中泊 カーネル vol.10 ★本州最北端・下北半島を巡る★ Part.5 大間崎の朝日と夕日を狙う <<< 2011年9月10日発売 >>> |
下北半島は、本州最北端の地で青森県の北東部に位置する半島。 半島全体が国定公園で景勝地として知られる。 今回は2005年と2010年に下北半島を旅した内容を紹介しよう。 |
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<<<P60とP61>>> 津軽半島から下北半島を目指す 下北半島は景勝地として恐山と薬研渓流を中心に、半島西岸の仏ヶ浦、そして大間崎と尻屋崎の先端部分が1968年に国定公園として指定された。 前日に津軽半島・龍飛岬の駐車場で車中泊して下北半島から昇る朝日を撮影後、午前8時に出発して下北半島の東端の尻屋崎に到着したのは午後4時過ぎ。尻屋崎の周辺の草原は南部藩の牧場の名残りで寒立馬(かんだちめ)が放牧されている。寒立馬の保護のため、岬先端部の車道入口に自動タイマーで作動するゲートがある。自然や動物を保護するためとのこと、当然、時間外には入れない。このため、尻屋崎は守るべき景観が残って素晴らしい。この日はすでにゲートが閉まって通れないので走り続けたジムニーと身体休息のため薬研温泉郷の清流にある「かっぱの湯」でゆっくりすることにした。 「かっぱの湯」の駐車場に車中泊して深夜と朝方4時に入浴して心も身体もリフレッシュできた。大間崎の夕日撮影まで時間があるので恐山へ行く。恐山菩提寺(おそれざんぼだいじ)862年、慈覚大師・円仁の開山と伝えられ、高野山、比叡山と並ぶ日本三大霊場のひとつ。徒歩で撮影する時の荷物は、カメラ2台、レンズが4本、中型の三脚と少し機材で総重量10kg強となる。硫黄臭が立ち込め火山性の独特の地形を撮影しながら1時間40分かけて1周した。 機材の重みで肩は痛いし足はだるく棒と化した。荒涼とした奇観から「死者の集まる山」とも言われ、恐山の「賽(サイ)の河原」の風景は、整然とした“気”を感じ俗界とは違う雰囲気が漂っていた。飲料水を持つのを忘れ喉はカラカラ。歩くのが精一杯で体力を試されているようだった。 恐山からむつ市を経て国道388号線を大間町に向けて移動。途中には2度目の体力テストが待っていた。今度は極楽浄土を思わせる幻想的な奇形岩で有名な「仏ケ浦」。駐車場から長い階段を降りて1時間半の散策は予想通りの苦しい歩きになったが 海蝕によって形成された奇岩群に遭遇すると汗も吹っ飛ぶほどの感動を覚えた。 仏教文化とつながりが深く岩には仏の名が用いられ、国の名勝および天然記念物だけに一見の価値観がある。 しかし「恐山」と「仏ヶ浦」の観光には心してかからないと命取りになる。 残念「隠れかっぱの湯」は姿を消した! 2005年の旅で立ち寄った薬研温泉郷を流れる薬研渓流沿いにある「かっぱの湯」と「隠れかっぱの湯」は、私がいままでに入浴した露天風呂の中でも高感度で旅人にぜひとも紹介したいほど心を躍らされた露天風呂だった。青森ヒバの針葉樹やブナ・カエデなどの広葉樹がが生い茂り、新緑の森林浴でリフレッシュできる入浴は別天地を思わせた。 よき物は何十年も何百年も続くと信じていた。記事を書くためその後どうなっているだろうとネットで調べてみたら「隠れかっぱの湯」はなくなり、「かっぱの湯」は立派な屋根が付いてリニュアルされていた。あらまあ〜、身勝手なことをいうようだが、旅人からみた薬研温泉の魅力はちょっと薄れたように感じた。東北というイメージにピッタリだったのに非常に残念でならない。全国の温泉マニアでも評判が高く人を引き寄せるだけの魅力を持っていたので残念。 でも「かっぱの湯」のお湯は健在なのでホットした。 疲れ果てた身体で本州の最果ての地「大間崎」を目指した。どんよりとした天気の大間町に着いたのは午後3時。 本州最北端に立つ気分を想像して楽しみにしていたが、そこにある風景はゴールデンウィークとあって、クルマと人でいっぱい。最北端を示す石碑の前などは行列状態。ひとりでカメラを提げていると観光客の記念撮影に引っぱり出されて大忙し。何組ものシャッター切ることになった。 個人的に楽しみにしていた夕日撮影だが、空には雲が覆いかぶさり太陽が覗く気配がない。それでも状況変化に期待した。撮影場所を下手漁港の堰堤(高さ2m)越しにと決めて、ジムニーの屋根上荷台から冷たい強風の中で防寒服を着て待つこと1時間。諦めかけた時、一瞬だが雲の間から太陽が覗いた!ほんの十数分の奇跡的な出来事に無茶苦茶喜んだ。 その後、2度目の大間崎に立つことになったのは2010年5月のことだった。今度は深夜に着いたので朝日撮影のため近くの駐車場で車中泊をした。風は台風並みの強風で車も揺さぶられビュービューと音が鳴り、横殴りの雨の中で一夜を過ごした。朝には「天は我を味方」してくれ、強風でありながらも綺麗な朝日に出会えてカメラにゲットできた。 ただ自然に感激するだけだった。 |
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<<<60と61ページの写真の説明>>> 尻屋崎灯台 尻屋崎の先端は草原状となり明治9年に建設されたものでレンガ造りでは日本一の高さを誇る白亜の尻屋崎灯台が建つ。ここからの朝日撮影がしたくてゲートが閉まって居る時間帯に留まる許可を東通村役場に問い合わせたがOKは出なかった。某有名カメラマンには撮影許可されていたのだが少し力量の差がありすぎかな? 寒立馬(かんだちめ) 下北地方には野放し馬として寒さと粗食に耐え持久力に富む馬として南部藩政時代から、南部馬の血を受け継ぐのは東通村の寒立馬だけとされている。昭和45年に岩佐勉氏が詠んだ短歌で「寒立馬」と呼ばれるようになった。半島先端部には時間タイマー付きのゲートが2ケ所あるので確認が必要。 薬研温泉(やげんおんせん)駐車場 露天風呂はかっぱの湯に浸かり駐車場では車中泊。朝食はいたって簡単。 かっぱの湯 温泉マニアから通称「かっぱの湯」は改装がなされたと聞いた。写真は2005年の画像で現在では屋根が付いたとか。 大間崎の朝日 「ここが本州最北端の地」と記された碑が立つ。大間崎で綺麗な朝日遭遇は予想外で感無量だった。 大間崎の夕日 本州最北端の一番端っこに沈む夕日は海には沈まなかった。 仏ヶ浦 明治の文豪、大町桂月が「人の世ならぬ処なりけり」といった海岸の奇観。約2kmにわたり所々に高さ6m〜90mに及ぶ奇岩怪石が続く。白緑色の凝灰岩が風雨と荒波で浸食されまさに極楽浄土を思わせる景観が生み出されている。五百羅漢、観音岩などと名付けられた奇石はすべて国の天然記念物。 水芭蕉 薬研温泉から恐山へ行く道脇に水芭蕉の群生があった。雪解け水の沼に咲いていた。 恐山賽の河原(おそれざんさいのかわら) 下北半島の北部中央にある円錐状の火山でカルデラ湖。コバルトブルーで透明度も高い宇曽利山湖の湖畔には、現在も火山活動が続く「賽の河原」がある。地獄なのか極楽なのかも定かでないこの光景が恐山に対する畏敬の念の原風景といえる。 <たわごと:この記事は本には掲載していません> でもちょっとだけ意見を言ってみたかった 温泉マニアの友人と話をしていたら温泉が廃止と改装がなされた聞きネットで調べてみた。 通称「隠れかっぱの湯」は『県道から入浴者が見えることや混浴であること、公衆浴場法に定められた許可がないこと、管理者不在のため衛生管理不能であることなど』で下北森林管理所が2010年2月に閉鎖して撤去となった。 「かっぱの湯」は『付近の湯ノ股橋や他から入浴者が見えることや混浴であることが問題』で市が2010年3月に一時閉鎖し、屋根の設置や脱衣所の改修などの工事がされ時間制限で男性と女性を分けたと掲載されていた。 一生のうちに数度しか訪れない者が地元の事情も知らずに意見を言うのはどうかと思うのだが、いち旅人としての意見を言うなら。 温泉なくして観光地はなりたたない日本。 ましてや温泉を観光としている場所には必ずと言っても良いくらい無料露天風呂がある。私も九州から北海道までいくつもの露天風呂に入浴させてもらった。 地元の方や有志で管理されるおかげであることはありがたいと感謝している。露天風呂は旅の醍醐味ともいえる。 廃止や改修の理由が市政からとは残念でならない。 どうすれば残せるかをもっと話あってほしかった。 全国的な意見も聞いてほしかった。 |
(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>> 現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。 CHIKYU−MARU 株式会社地球丸へリンクします |
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