車中泊 カーネル vol.55 7月号

高知県
柏島を染める夕陽
Part50 1枚の写真から〜 SUNSET


<<< 2022年6月9日発売 季刊誌>>>

 カーネルSTAFF photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

 ●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
  1957年生まれ。広島県在住。
  高校時代から、徒歩・自転車・バイク・電車・車を使い沖縄を除く日本を1周する。
  2周目として2001年より「朝日&夕日を追いかける撮影旅」を始め、2010年に終了。
  3周目も撮影旅として2010年から2019年5月まで(北海道は保留。2020年訪問予定)。
  2019年10月から4週目に突入した。
                                   公益社団法人 日本写真協会 会員


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いまさらなながら、「夕日」と「夕陽」の違いを考えてみた。
自分なりのニュアンスとしては、「夕日」は「沈む太陽そのもの」で、「夕陽」は「沈む太陽の光によって染められた周囲を含む現象」と区別している。

 自分の写真的に表現すると、「夕日」は太陽の形がある主役。
逆に「夕陽」は、夕方の太陽の光が当たった被写体が主役。画角上に太陽の形がなくてもいいと解釈している。

 さて、そんな自分なりの解釈を踏まえて、今回の写真の情景をみる。
撮影場所は、高知県の「大堂山展望台」。大月半島の先端部分に浮かんでいる、周囲4kmの小さな島「柏島(かじわじま)」と、太平洋が一望できる展望台だ。

 18時ごろ、太陽は水平線の上にあり、雲が「黄金色」に輝く「夕映え」となった。
その30分後には、空が燃えるようあ「紅色」になり、徐々に深い赤に染まり、「茜色の雲」に。
19時10分、辺りは薄暗くなり、わずかな「赤色」が海に残って「黄昏色(たそがれいろ)」となる。
さらにその10分後、太陽は沈み、「薄明(はくめい)」の時間帯となり、薄明りが残った。
 
 空に雲がないときは、空が青白く、「宇宙色」として海面に反射する。
しかし今回は、雲があることで空も海も赤く「残光」として輝いたことで、主役は海の「彩色」で、脇役は景色で「柏島」となった。稀に見る珍しい自然の色彩を、「可視光」として感じることができた。

 七変化する「夕陽」は、力強い「朝陽」と違って、風景全体を多彩な色に変化させて楽しませてくれる。
まさに、時間の経過とともに変化した「風景」を、満喫できた瞬間であった。


2022年より隔月年6回(偶数月2.4.6.8.10.12月)と発売!!!

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