車中泊 カーネル vol.52 冬号

高知県 足摺灯台
太平洋から昇る朝陽
Part47 1枚の写真から〜 SUNRISE


<<< 2021年12月9日発売 季刊誌>>>

 カーネルSTAFF photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

 ●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
  1957年生まれ。広島県在住。
  高校時代から、徒歩・自転車・バイク・電車・車を使い沖縄を除く日本を1周する。
  2周目として2001年より「朝日&夕日を追いかける撮影旅」を始め、2010年に終了。
  3周目も撮影旅として2010年から2019年5月まで(北海道は保留。2020年訪問予定)。
  2019年10月から4週目に突入した。
                                   公益社団法人 日本写真協会 会員


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1999年から日本各地で車中泊をしながら、雑誌の撮影旅をしていた当時。私の誌面でのキャラクターは「狸」。
イラストには、愛車に狸を乗せて、いつか欲しかったカメラの超望遠レンズを持たせていた。仮の姿であるカメラマンに変身して撮影旅を行い、周囲の人たちをあざむく「化け狸」という設定だった。

 時は進んで、いまから数年前。黒潮が打ち寄せる断崖約80m、白亜の「足摺岬灯台」(高さ18m)に、朝陽が絡む場所を発見。その時は太陽の位置と天候が悪く、あえなく不発に終わっていた。そのリベンジとして撮影したのが、この一枚だ。
 今回のお話は、その撮影場所に行く途中でのできごと。現地では日の出2時間前に行動しようとしたが、懐中電灯がないと歩けない。撮影場所は日本最大の花崗岩海蝕洞門「白山洞門」へ下りる階段で、途中からロープ伝いに斜面を下る危険な横道。獣(猪)と遭遇するのも怖いので、周囲が明るくなるまで階段に座って待つことに。もし猪と出くわしたら・・・・カメラの三脚での対戦を考えならがら、周囲の異変を察知するアンテナをめぐらせていた。

 そん時に突然、後方に不気味な気配! 振り向くと狸が数10pほどの場所にいた。ビックリして、大声で「コラッ」とひと声。飛び跳ねて横に少しずれたが、逃げる様子もなくジット私を見つめている。怒ってるようでもなく、恐れているようでもない。続いて、もっと若そうな狸もが立ち止まる。警戒心はない。

 改めて狸を見ると、人懐こそうな目でかわいいではないか。狸の通り道を塞いでいた私が、友人か親戚に見えたのかもしれない。



2022年より隔月年6回(偶数月2.4.6.8.10.12月)と発売!!!

この号から、カーネル株式会社が発刊します

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