車中泊 カーネル vol.24

小豆島を巡る


Part19 小豆島を巡る


<<< 2015年3月10日発売 >>>



 カーネルSTAFF writer ・ photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
1957年生まれ。広島県在住。四輪駆動専門誌のレポーター・カメラマン。
高校時代からひとり旅が好きで、徒歩・自転車・バイク・電車・車を使い沖縄を除く日本を1周。
2001年よりは趣味のカメラで「朝日と夕日」撮影する旅を三十数回に分けて総走行距離約6万キロを走り(沖縄を除く)2010年に終えた。現在も続けて2周目に挑戦中で撮影のため全国を巡る。

ひとり旅を始めるきっかけとなった
小豆島で懐かしい高校時代にタイムスリップ。
しかし、40年の歳月は長かった。

<<<P56とP57>>>

日本国中をひとり旅するきっかけとなった小豆島

小豆島は、40年前(高校1年生の夏)に友人と3人で自宅から自転車で小豆島まで行きキャンプ旅をした懐かしい想い出の場所だ。しかし、この旅が、私の旅のスタンスを決定づけた重大な旅でもあった。
そもそも3の数字は奇数で物事を決めるときに多数決をとると大方意見は2つに分かれ自分はそのひとつになることが多く、自分の思い通りに行動できないという歯がゆさが身に染みた旅だった。
それ以来、自分の決断の元に行動できる「ひとり旅」が始まったのである。


小豆島に辿りつけるのだろうか?

今回は、奥さんが通勤で乗っているホンダ・ライフで出発した。仕事を終えてから午後22時前に自宅を出たが小豆島行のフェリーは早朝まで無いので、1回でも撮影したくて神戸へ向かった。ところが山陽自動車道の白鳥PAでトイレ休憩をしてクルマに戻ってみると前輪タイヤ1本がペッタンコになっていた。仕方なくスペヤタイヤと交換した。この状態で高速走行は怖いので高速道路を降りて、撮影旅を続けるか? それとも自宅に帰るか思案した?
最近は、スマートホンという旅に有力なアイテムがあり、現在地付近に何があるか直ぐにわかる。「車屋さんの店名」をスマホに声をかけると、日曜日とか祭日でも店を探せる。姫路のフェリー乗り場に一番近いお店ですり減っていたタイヤ4本を新品に交換することで、旅を続行することにした。10時35分発のフェリーで12時15分に小豆島の福田港に上陸した。


瀬戸内海の海と島と空は旅情を誘われる

小豆島は“寒霞渓”を始めとする渓谷や自然が瀬戸内海国立公園に指定され、日本では19番目の大きさの島だ。瀬戸内海では淡路島に次いで2番目の面積を有している。およそ1300万年前の火山活動によってできた安山岩、集塊岩などの岩石が長い年月の地殻変動や侵食により、奇岩・怪石の絶景をつくりあげている。
撮影場所を探す目的を兼ねて小豆島の中央部にある美しの原高原に行った。そこには寒霞渓を見下ろすことができる大観望展望台(標高776m)がある。眺望は瀬戸内海の島々が点在して景観が素晴らしい。
朝日は淡路島から昇り手前に寒霞渓が入り、夕日は西側には四国の屋島と瀬戸大橋が見えて、手前には島をシルエットにエンジェルロードが入る絶好の場所。ここで朝日と夕日を撮影することにした。


「岬の分教場」では小学校時代を想い出した

『カーネル』では、私は太陽を追いかける旅人なので、旅行としての観光案内を詳しくしなくても許していただけるだろう? 寒霞渓道路・小豆島スカイライン・四望頂展望台・寒霞渓ロープウェイで往復・岬の分教場・二十四の瞳映画村・エンジェルロード・釈迦ケ鼻園地・地蔵崎灯台などを見学して、道の駅「大阪城残岩記念公園」で車中泊した。島醤油とカタクチイワシを使った、小豆島ラーメン“醤(ひしお)”も食べたということをご報告することにとどめたい。
小豆島へは、あれから・・・40年が経ち「旅」を始めた原点を思い出す旅となった。しかし、当時の記憶はまったく蘇らなかった。自転車で走った坂やキャンプをした海岸などまったく同じ場面は想い出すうことは出来なかった。40年という月日は長かった。
しかし岬の分教場で木造校舎の机や木の椅子がある部屋に入ると、小学校時代の光景が脳裏を走り当時の部屋に居るような感覚になった。子どもだった友人の顔も想い出して懐かしい気持ちになった。机の傷を見て先生に叱られたことも思い出してしまった。大人である私だが、子どもに戻った気がした。
今回は記憶を辿ることができた懐かし旅であった。



大観望展望台からの夕日
瀬戸内海がオレンジ色に染まり島のシルエットが美しい。左手前に小さく見える島が「エンジェルロード」で潮が満ちてロードは見られない。遠く右上は、坂出あたりで五色台の向こうに瀬戸大橋が見える。

寒霞渓ロープウェイから山頂駅を見る

200万年もの歳月で創り上げられた奇跡・怪岩の断崖の大自然をロープウェイ空中散歩から渓谷美を楽しむことができる。

四望頂(しぼうちょう)560m
このあたりを歩くと「うちのみ(内海町)歩く道」の表神懸(おもてかんかけ)12景の「荷葉岳(かようがく)」や「鳥帽子岩(えぼしいわ)」が見ることができる。

「岬の分教場」と「二十四の瞳 映画村」
私も昭和時代生まれで通った小学校は木造建築だった。「岬の分教場」で教室に入ると、木の板張りで、木の机と椅子に座ると、小学生時代にタイムスリップしたように感じた。女流作家・壺井栄の小説『二十四の瞳』が原作で映画化に使われたもの。2つの写真を並べてみたが、建物の外観や内側はそっくりだった。映画で使ったセットは、左が「岬の分教場」1954版(主演:大橋秀子)、右が「映画村セット」1987年版(主演:田中裕子)

ホンダ・ライフと四方指展望台(標高777m)
今回、車中泊したクルマ。ターボ付きなので小さいながらも力はある。後方の展望台(高さ9m)からは、南に鳴門(大鳴門橋)、西に高松(瀬戸大橋)、東に姫路、北に備前方面のパノラマが広がる。

大観望展望台からの朝日
変化にとんだ渓谷は、日本三大渓谷美と称され景勝地。朝日が淡路島から昇り、寒霞渓一帯の山や岩を輝かせ紅葉の色彩を濃くした。寒霞渓が一望でき寒霞渓ロープウェイの山頂駅も見える。

エンジェルロード
「天使の歩く道」・「天使と出逢った道」とも言われ1日2回、干潮時に海の中から現れる砂の道。大切な人と手をつないで渡ると、砂州の真ん中で天使が舞い降りてきて、願いを叶えてくれると言われているロマンティックな場所で「恋人の聖地」。上の写真はいかにも天使が下りて来そうな雲が出現した。

瀬戸内らしい景色
内海湾の草壁より寒霞渓道路を走っている時の光景。太陽を追う旅人はいつも空を見て走っている。瀬戸内海の島々と浮かぶ雲が面白かった。





ちょっとためになる話 第3弾

ホンダ・ライフで快適な車中泊

※本当は少し内容が違います

私の「車中泊=クルマで寝る」ことは絶対的なアイテムである。車外を気にせずに車内を覗かれないようにする対策方法として、クルマのガラス部分を隠すためにプラダン(プラダンシート)を付ける。
プラダンは中空構造なので軽くてローコスト、耐圧性、耐衝撃性に優れていて普段は建築用保護・養生材に使われることが多い。自分でカッターを使い簡単に加工し易すく、板の間は空気層があり冬には断熱効果も期待でき、窓ガラスが曇らず水滴がベタツキにくいと判断した。

(1)新聞紙で型を作る
新聞紙を使うのはコストが掛からなくて曲線も自由につくれる
少し窓を開いて、クルマの内側から型をつくり外側は新聞紙ははみ出した状態にする

(2)曲線部分も綺麗に型にする
コツは窓の上部から新聞紙を窓に添って小さ目に折り曲げる
新聞紙は1枚(小さく切って)ではなく数枚を重ねながら曲線をつくりガムテープで張り合わせる

(3)新聞紙の型を厚紙に写す
できた型を窓の上側にむけて外して厚紙(段ボール箱など)にマジックで写す

(4)厚紙の型をプランダンに写し切り取る
クルマは左右対称なので厚紙を表裏と使うと両方が取れる
ピッタリサイズでつくると窓の隙間にハメル時にきつくなるので少し小さ目に切るのがコツ
修正は、はさみやカッターで簡単にできる
使う時に隙間が気になる人はガムテープの黒で目張りをすると完璧に灯りをシャットアウトできる

(5)運転席から後ろを見る
前の座席を倒すと後部座席とフラットになるが座席に凸凹があるので座布団を使って平らにする
前座席の低い所に、着替えや服を入れるバックを2個ほど置くと席とフラットになる
後部の両窓には、高さ2p*横30pに切り取って隙間をつくり必要に応じて窓の開け閉めで風を調整している

(6)後ろから運転席をみる
運転席から後部座席の背もたれまで約165cmあり私の身長では足を延ばして寝れる
敷布団と電気式毛布と毛布を敷く
ディスカウントショップでシングルの布団と敷き毛布セットで¥3000円くらいである)
電気式毛布を使うので、100Vのインバーターも使える充電式のバッテリーを持っている
電気式毛布(6時間くらい使える)を使用する(これはいつか詳しく紹介したい)


(使用材料)
プランダンシート(ポリプロピレン性) サイズ:910*1820 厚み 4mm 1枚910円
新聞紙数枚・段ボール紙(大き目の箱を切り取ったもの)・はさみ・カッターナイフ・マジック
養生用ビニールテープ
(制作時間)およそ、3時間


※補足:記事作成の参考として
いつも旅するジムニーや時々に登場するアクティバンにも車中泊が快適にできるように施している
ライフの外観からすると小さく見えるが車内は案外と思ったより広い

近場の旅とあって、カメラ機材をかなり減らしている

プラダンには厚みや色違いのものがある(私は黒色と白色を買った)
黒色は、まったく光を遮るが、回りからみるとちょっと不気味に見える
そして、朝方の薄明かりを感じることができない
白色は、車内を明るくすると窓に近づくと人影が写り、中の人の存在感を知られてしまう
ねずみ色があるが、試していない

・私の場合は、昼間でも、寝る事や、夜に外灯がある下で寝る(朝の撮影準備時は外の照明があると助かる)ので、まったく光を遮断する方を選んでいる
・車中泊の時に駐車所などで込み合っていると、すぐ隣にも車中泊をされることもあるので
・朝日撮影で薄明かりサッチできることを考えて後ろのドアは白色も用意している
・夏に窓を閉め切ると暑いので、窓の部分に虫対策として網目のステンレスで風が通るようにしている(これはジムニー仕様)


(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>>
現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。

CHIKYU−MARU 株式会社地球丸へリンクします
 
 無断使用禁止・著作 H.Okamura Logoは使用許可済