車中泊 カーネル vol.23

志摩半島を巡る


Part18 那智大社〜串本を巡る


<<< 2014年12月10日発売 >>>



 カーネルSTAFF writer ・ photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
1957年生まれ。広島県在住。四輪駆動専門誌のレポーター・カメラマン。
高校時代からひとり旅が好きで、徒歩・自転車・バイク・電車・車を使い沖縄を除く日本を1周。
2001年よりは趣味のカメラで「朝日と夕日」撮影する旅を三十数回に分けて総走行距離約6万キロを走り(沖縄を除く)2010年に終えた。現在も続けて2周目に挑戦中で撮影のため全国を巡る。

前回の旅では志摩半島を巡り、今回は南紀の串本・潮岬を目指したことを紹介しよう。
過去に南紀での最大の撮影目的地で何度かトライしていた「橋杭岩の朝日」「潮岬灯台の夕日」を狙うため串本を訪れた。

<<<P52とP53>>>

念願の「橋杭岩」での朝日・・・ダルマ太陽だった

 志摩半島の「登茂山展望台」で夕日撮影を19時に終えて、220kmを休憩しながら途中では警察の検問に合いながらも24時に串本駅前に無事に着いた。橋杭岩の道の駅で車中泊しようとしたが満車で停めることができず、1分ほど離れた橋杭海水浴場の橋杭園地休憩所で夜を明かすことにした。コンビニで買った弁当を食べて就寝したのは午前1時。
目を覚ましたのが午前4時まえ。

 橋杭岩は、吉野熊野国立公園に属しており、国の名勝や国の天然記念物の指定も受け観光名所になっている。大小約40の岩が南西におよそ850メートルもの長さにわたって連続してそそり立っている。直線上に岩が立ち並ぶ姿が橋の杭のように見えることから橋杭岩と呼ばれている。
橋杭岩を通して見る朝日はとても美しく日本の百選の認定も受けている。カメラマンならこの地に一度は立って撮影することを夢みるところ。

 今まで何度か撮影に挑戦していたが雨や曇りで太陽すら見ることができず、写真は撮れていなかった。しかし今回は違った。東の空が明るくなり水平線が一直線に見えて雲がない。望遠レンズを用意してテレコン(2倍にするもの)もポケットに忍ばせて心の動揺を抑えながら待った。5時6分、太陽が水平線から出た。ファインダーを覗くもドキドキしながら必死でシャッターを切った。ダルマ太陽の綺麗な朝日が撮れた。


日本三大名滝「那智の滝」は世界遺産

 朝日撮影後に、30kmほど伊勢方向に戻ったところの熊野那智大社へ行く。一度は訪れたことはあったが、那智の滝にはまだ足を踏み入れていなかった。
熊野本宮大社、熊野速水大社、熊野那智大社を熊野三山または熊野三所権現と呼び、熊野那智大社は全国の熊野神社の本社であり熊野三山の一社。この熊野那智大社や青岸渡寺(せいがんとじ)の信仰の原点となったのが「那智の滝(那智御瀧)」だ。飛龍神社の鳥居をくぐり滝に向かって石段の参道を下ると滝の正面に立つ。高さ133mで日本一の落差を誇る名瀑と称されて滝自体が「飛龍神社」の御神体でもある。

 滝の霊気を感じたくて滝下の「御龍拝所」へ行く。見上げるほど高いところから水が流れ落ち、滝音も激しく、肌で感じるほど圧倒的な迫力がある。ここは有料(初穂料)ではあるが「長いきの霊水」がいただけ「神盃」で飲めて持ち帰りもOKだった。

 身を清めたのちは、熊野那智大社へ行く。以前に訪れた時は大社の表参道から石段473段を上ったが、今回は滝前駐車場の横から裏参道を上った。表参道と雰囲気がまったく違い杉並木の間に築かれた鎌倉積み石段が続いて坂道を歩き三重の塔の横を通って西国三十三ケ所札所の青岸渡寺から熊野那智大社に行った。朝の時間が早いせいか参拝客もまばらで3時間ほどゆっくりと滞在して串本へ戻った。
その後、本州最南端の温泉「サンゴの湯」で汗を流した。
朝早くから撮影と那智の散策で、汗もかき服は着替えているものの身体がベトベトして気持ちが悪かったが、お湯にゆっくり浸かれ体もスッキリして幸せな気持ちになれた。


潮岬灯台は日本の灯台50選!だった


 夕日は潮岬灯台を撮影。せめて空が赤く染まることを願ったが、相手が自然のことで思い通りになる訳がない。それでも撮影場所として、私の日本地図に1ポイントは落とせた。撮影しながら思った・・・「今までにどれくらい灯台付近で撮影しているのだろう」と思った。気になって、家に帰って調べたら、「あなたが選ぶ日本の灯台50選」に潮岬灯台も入っていた。今までの旅で北海道から九州(沖縄は行っていない)までのうち朝日&夕日絡みで23灯台は撮影できていると解った。見学しているのが7灯台で、見て横切ったのが6灯台もあることが解った。

 しかし残る中部地方・九州地方・沖縄の11灯台は船に乗らないと灯台を見られないことが判明。船で渡り宿をとって太陽を待つのは至難の業で「灯台50選」を朝日と夕日を絡めるのは無理だろう。
一瞬だが挑戦しようと決意しかけたが思い直した。行って見てみたい気はするが・・・?
さ〜て、次はどこまで太陽を追いかけようか!



橋杭岩の朝日
水平線からの日の出には感動した。ここで朝日を撮影する夢が叶った。
その昔、弘法大師と天の邪鬼が一晩で大島まで橋を架けることが“できる”か“できない”の賭けを行った。負けそうになった天の邪鬼が鶏の鳴きまねをして夜が明けたと思わせたため、弘法大師が橋を完成させることなく杭だけで終わったという伝説が残っている。

熊野那智大社
那智大社の境内に一歩足を踏み入れると、荘厳な朱色の権現造りの社殿(国指定重要文化財)が、背後の樹木の緑に映えている。社殿と境内域は共に世界遺産。

裏参道
飛滝神社から熊野那智大社へいくルートの裏参道。参道は鎌倉積みでひとつずつは大きい石で積んだ石段だった。

那智の滝
那智原生林を源とする那智の滝(一の滝)は、銚子口から一気に落差133mを落下する様は人々に畏敬の念を抱かせる。

橋杭岩のダルマ太陽
撮影していても、めったに遭遇できない“ダルマの形をした朝日”。なかなか指定した場所で撮ろうと思っても撮れない自然現象のひとつ。カメラマンではとても重宝される。

串本温泉“サンゴの湯” の駐車場
串本公衆温泉場「サンゴの湯」はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、きりきず・やけど・神経痛・冷え性・疲労回復にいいとされている。入浴料・410円は安い。クルマはホンダアクティで後部座席を外して1段目は機材と荷物入れ、2段目はベッド(長さ165センチを確保)と3段目はスライドできる机をカスタマイズしている。

潮岬の観光タワー
タワーの展望台からは、太平洋の水平線が一望でき丸い地球を体感できる。本州最南端の潮岬に訪れた証として「本州最南端訪問証明書」を発行している。ちなみに057764だった。

潮岬の芝地
本州最南端の地。潮岬の先端には、かつて海軍の望楼があったことから“望楼の芝”と呼ばれる10万平方の広大な芝地が広がっている。

潮岬の雄大な夕景
2005年に訪れた時に見た雄大な雲。この雲で夕日が赤く染めてくれていたら・・・凄かっただろうな。左下に小さく潮岬灯台が見えるかな?。

潮岬灯台の夕景
30mの断崖に立つ白亜の灯台で、本州最南端のシンボル的存在。68段のらせん階段を上り台上に出れば、眼下には太平洋の大海原が広がります。また灯台下には資料館も併用されています。


橋杭岩の岩群
干潮の時に、潮が引いて海面が低くなると杭のような岩以外にもゴロゴロした岩が見え徒歩で散策できる。


ちょっと怖い話 第4弾

クルマ走行中にガス欠になったら・・・どうする?


本では、誌面の面積が足りないため、かなり文章を削られています。
本当は、ガス欠になったことはあります。

私は、過去にクルマ走行中にガス欠で停まったことが1回ある。大阪市内の大きな交差点の真ん中で、突然とプスプスとエンジンの回転が落ちて車輪が停まった。突然起きたので交差点から脱出することしか頭に浮かばなかった。クルマが軽四(小さく軽い)だったのでなんとか一人でハンドルとドア付近を押して動かせた。怒鳴られることは無かったが冷や汗をかいたのを思い出す。まるで漫画みたいな出来事だった。
ガス欠で停まりそうになったのは、三重県の知多半島に撮影に行った時のこと。名古屋市から知多道路にはガソリンスタンドは無く最後の料金所(午前4時)を降りた所でメーターはEを切っていた。予備タンク5Lを給油。50kmは大丈夫と思いきや撮影場所を探すのに同じ距離を走ってしまった。午前6時過ぎに撮影は終わったが身動きとれずガソリンスタンドの開店を2時間も待った。
もう一度は、九州自動車道から大分自動車道を走っている時のこと。大分自動車道で給油するつもりが連続2ケ所のSAでの給油所(22時に閉店を知らなかった)が閉まっていた。目的地の佐賀関半島まで120km強ある。しかたなく国道へ降りて走るが午前2時では何処も開いていない。メーターEを切ったので空地で予備タンクを出す為に荷物を降ろしていたら怪しい行動と思ったのか、赤い回転灯のクルマが停まった。案の定、職務質問。事情を話すと親切なおまわりさんは大分市まではガソリンスタンドは開いて無いと教えてくれ、さらに地元の地図で1件のスタンド(電話確認もした)を教えてくれた。反対方向へ30km戻ることを余儀なくされ、夜中に約2時間の余計な行動はドット疲れた。
高速道路上でGSメーターがEを切るというのはドキドキものである。原稿を書いているには面白そうだが実際は急に停まったらどうしようと考えてしまう。予備タンク(5〜10L)を用意していても、夜中となると近くにガソリンスタンドは無いと考えてもいい。その時は朝まで動かないのが一番良いのかも知れませんね。
※停まりそうになった私のクルマとは満タンで400kmは走れない。高速道路では300kmを走ると次のガソリンスタンドでぜったいに給油しないと大変なことになる。


(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>>
現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。

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