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車中泊 カーネル vol.22

志摩半島を巡る


Part17 紀伊半島には過去4回も訪れていたが・・・


<<< 2014年9月10日発売 >>>


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 カーネルSTAFF writer ・ photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
1957年生まれ。広島県在住。四輪駆動専門誌のレポーター・カメラマン。
高校時代からひとり旅が好きで、徒歩・自転車・バイク・電車・車を使い沖縄を除く日本を1周。
2001年よりは趣味のカメラで「朝日と夕日」撮影する旅を三十数回に分けて総走行距離約6万キロを走り(沖縄を除く)2010年に終えた。現在も続けて2周目に挑戦中で撮影のため全国を巡る。

今回の旅は、紀伊半島を朝日&夕日を追いかけて、鳥羽から志摩半島へ向かった。紀伊半島には4回も訪れているが天候に恵まれず想い通りの綺麗な朝夕景には出会っていなかった。前回の紀伊半島の旅は、2009年に訪れたが別記にあるように愛車が故障。そのため、志摩半島〜南紀はクルマが動く間に自宅に帰ることを優先し、ユックリの撮影旅はできていなかった。
<<<P56とP57>>>

自宅から志摩半島まで500kmをイッキに走る

 5月のゴールデンウィークに自宅を午後8時に出発、山陽自動車道〜中国自動車道〜名神高速道〜京滋バイパス〜新名神高速道路〜伊勢自動車道を順調に走って二見JC(約450km)を午前2時過ぎに出た。“日本人の心のふるさと”ともいえる「伊勢神宮」や世界的にも有数の規模をほこり観光名所でもある「鳥羽水族館」「ミキモト真珠島」は深夜に素通りした。でも断っておきますが、過去には伊勢神宮に参拝や鳥羽の遊覧船で観光もしたことはある。今回の撮影旅と違うので話はふれないが、伊勢で朝日と言えば二見浦にある「夫婦岩」は外すことはできないので写真で紹介する。
 高速道路の渋滞もなく、何度か小休止をしながら午前3時過ぎにはパールロードの面白展望台に着いた。日の出は午前5時頃なので朝日撮影で予定している「安乗埼灯台」に急いだ。灯台に近づくにつれて道幅は狭くなり、家の路地を縫うように走る。駐車場に着いたのは午前4時過ぎで家から510kmを走った。


珍しい四角灯台の「安乗埼灯台」と朝日撮影

 目的地に着くと仮眠もできずに体は疲れて頭はボーッとして腰が痛い。この状態から撮影に入る瞬間には、頭中の東西南北のコンパスがクルクルと回り方向音痴となることがある。そんな時は全国地図を頭に浮かべ自分の立っている位置を再確認することにしている。「ここは、紀伊半島の鳥羽の南で志摩半島の突き出た岬で、東に太平洋、西に的矢湾で、日の出の方向は・・・東で灯台と太陽を絡められるか? ここは安乗埼灯台がある!」とひとりつぶやく。
 クルマを降りると、東側から波が打ち寄せる音が聞こえるほど海に近く広場(草原)を海に向かって走り下見をした。水平線が青白くなり空も少し明るくなり始め、急いでクルマに戻りカメラ機材と飲料水を持って決めた撮影地にもういちど駆ける。息切れがして汗も出て吐気をもよおす。しかし、天候に恵まれて、想像どおりの水平線から昇る日の出と安乗埼灯台の絡んだ絵がゲットできた・・・今までの疲れは吹っ飛び感動ものだ! だから止められないのである。



志摩半島のリアス式海岸を満喫!

 志摩半島は、リアス式海岸と呼ばれる複雑に入り組んだ海岸線で、岬や入江の多い地形で形成されて美しい。みごとな海岸美に恵まれた的矢湾(まとやわん)や英虞湾(あごわん)や五カ所湾があり、志摩の入り口である「鳥羽」に対して「奥志摩」と呼ばれる。この地形を見たくて撮影後にパールロードを鳥羽に引き返し「鳥羽展望台」に向かった。
 鳥羽展望台からは太平洋の大海原や海に浮かぶ離島、南側には的矢湾の向こうに志摩半島が見渡せて、朝日撮影した安乗埼灯台も見える。次には「日本の道100選」でもある国道260号線を大王〜志摩の西端を目指して走る。道の両際に「サツキ」が長い道のり植えられて目を奪われた。後で解ったが、「サツキ街道」とも呼ばれているらしい。
 この先志摩台地は隆起海食台地としては日本最大であり、海抜30〜50m程度に家や畑が並ぶ。「御座」から強風や荒波を受ける太平洋側の海岸線をゆっくりと海や小さな港を見ながら先志摩を一周した。


大王崎を散策。美味しいものを食す!

 志摩半島で朝日撮影する場所としてほかに気になっている「大王崎灯台」に次回に再訪のため下見として行ってみた。波切漁港にクルマを停めて「宝門の浜」に抜け、海の風景や石垣と石段の町並みで道沿いには干物や真珠などのお土産物店が並ぶ。お昼時となり、お腹もペコペコで美味しいものを探す。灯台に近い所に“大王岬 活魚料理 東洋一”の看板を発見! 店に入って献立のサンプルを見ているとお店の方が近づいてこられて、「そのメニューは本物とは違うよ。季節によって献立が変わる・・」との説明に、「これは面白そうだ・・・何が出てくるか楽しみだ」。メニューが違うと聞くと少し不安になったが、たぶん新鮮な食材を使うのかと勝手に想像した。
 勧められたのは「刺身定食」。届いた料理がサンプルと違う理由を聞かないわけにいかない。「お刺身は、何ですか?」の問いに「これは赤エビを除いて、今朝に地元で仕入れた天然魚」と答えた。地元産で季節の新鮮な魚と聞くと、食欲は倍増する。やはり旅と言えば地元の美味しいものを食べないと損をする。また、お吸い物(あおさのりともいい、ヒトエグサ科の海藻)も、美味しかったので帰りに道沿いでも売っていた「あおさ」と「ひじき」をお土産に買った。
これで、次に志摩半島に来る時には「朝日撮影場所」と「美味しいものを食べる処」が旅手帳に記された。
次号は、那智大社〜串本〜潮岬を紹介します。





英虞湾(あごわん)の夕景
第2登茂山展望台から撮影。夕日で空も海も英虞湾(あごわん)に浮かぶ真珠筏もすべてが赤く染まる夕景は、美しいの一言。

桐垣展望台からの景色
第1登茂山展望台付近から撮影。島々が浮かび気にいったのだが時期的に夕日が沈む位置が悪く断念した。

活魚料理「東洋一」の定食
大王崎灯台の少し手間にある食堂で食べた「刺身定食 \1200-」。地元産のサザエ・カツオ・マグロ・わらさ(ブリとハマチの間)は朝に仕入れた新鮮活魚を中心にした食材だった。大王町波切灯台前:(0599)72-0531
※東洋一さんには、電話で7月17日に掲載の確認(特に文中にあるサンプルが違う件)を取り、OKを頂きました。←削除してください!

波切漁港の干物
大王崎灯台へ行く道で見られる光景。海産加工物や真珠製品も売られている。地元で加工された「あおさ」と「ひじき」をお土産に買った。

大王崎灯台からの眺め
灯台から西側にリアス式海岸線が伸びて先志摩台地が平坦の地形にも見える。太平洋からの強風に立ち向かうように岬を陰にして密集した家々が建ち並ぶ波切り(なきり)の街が望める。

今回の旅の足であり宿
高速道路ではストレスを感じるが、車中泊で宿と思えば、車内の寝床はジムニーよりはるかにユッタリしている。自分的にはかなり気に入っている車中泊スタイルなのだ。

大王崎灯台
地上から頂部まで高さは23mで、平均水面から灯火まで46m。らせん階段で展望台まであがると熊野灘と遠州灘が一望できる。円形白塗灯塔の下部は扇形の二階建付属舎で立派な灯台だった。

絵描きの銅像
太平洋の荒波があたる岸壁に立つ白亜の灯台の姿は美しく、多くの絵描きたちがこの風景を作品にモチーフとしたことから「絵かきの岬」と呼ばれるようになった。
「八幡さん公園」から大王埼灯台と太平洋を一望するビュースポットで絵描きの銅像が立っている。

安乗埼(あのりざき)灯台の朝日
全国でも珍しい四角い形の灯台は、映画「喜びも悲しみも幾歳月」の舞台にもなった。
的矢湾の口を閉じるように東へ長く突き出た岬の突端に白い灯台がぽつんと立っている。
太平洋の打ち寄せる波の音と朝日を迎える灯台を見ていると心休まる気持ちで一杯だった。

伊勢の夫婦岩に昇る朝日
立石崎の海中に立つ2つの岩。大岩は高さ9m周囲44m、小岩は高さ4m周囲10mで、注連縄で結ばれている。夫婦岩はその東北700mの沖合にある二見興玉 神社の神石を拝む岩門で、自然の鳥居にあたる。

旅中に故障したクルマと買い換えたクルマ
左が2009年に南紀一周を目指していたジムニー。右が乗り換えたジムニー。約10年間で3台目の撮影&車中泊専用クルマとなった。


ちょっと怖い話 第3弾

旅中にクルマが壊れたら・・・どうしますか?


私は、過去にクルマ走行中に車のトラブルを3回経験しました。

1度目は、大阪から広島に帰郷中で高速道路を走行中に「ボッン〜」という爆音とともに車内が白い煙で充満。直ぐに路肩に停車。エンジンに穴が空いてオイルが霧状になった。

2度目は地元をジムニー(四輪駆車・幌車)で県道のコーナーに差し掛かった時に、トランスファーが故障(駆動ギヤはボロボロに破損)して四輪がロックしたまま滑って反対車線を越えて停まった。幌も外してオープン状態でロールバーも無く、運が悪ければ転倒して首の骨を折り死に至っていただろう。

3度目は旅中で、2009年の南紀一周を目指した時のこと。楽しくルンルン気分で名神高速道路を走行中に吹田JCTをこえたあたりで、「カリカリ」という小さい音がシフトレバーの根元あたりでしているのに気が付いた。遡行しながら窓を開けて確認すると微妙な嫌な音がしていた。仕方なく京滋バイパスの笠取ICで降りた。故障して停まったときを考慮して国道や県道を走る方がいいと思い高速道路を降りて伊勢市まで走った。
旅を続行したくて、行きつけのクルマ屋さんに携帯電話で状況を説明。大きな整備できるクルマ屋さんでエンジンとミッションの点検を指示された。しかし、故障個所が決定出来ず修理不能状態。ギヤチェンジすれば走れるが、道の反対側を歩いている人が異音に気が付くほど大きなガラガラ音になっていた。
相談したクルマ屋さんに色々と調べてもらったら「ミッションギヤなのでトップギヤのみで(ジムニーファンなら理解できる)なら走れる」と連絡をもらった。撮影どころではない、一寸先は闇に思えて、次のコーナーを曲がると突然走れなくなるか不安でやりきれない。どうやって家まで帰ろうかと? 最後にはいくら悩んでも仕方がないことで、「なるようになれ」と開き直った。結果的は、トップギヤの1速で約800kmを走り無事に家に辿り着けた。
帰宅後に検査するとミッション内の故障で数枚の歯車が折れていた。ミッション乗せ換えで多額の修理費がかかるのと、他の補修や車検が近かったので、次の中古ジムニーに乗り換えた。

(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>>
現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。

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