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No07.
 2002年5月号

2002年4月25日発売

調子悪いエアコンをユニットごと交換した


気が付けばもう春。桜の花とともに、暖かい陽射しが戻ってきた。
うかうかしているうちに、イヤでもエアコンを使わずにいられなくなる梅雨もやってくる。・・・
というわけで、今回はエアコンのお話。
調子の悪かった愛車のエアコンを良品と交換したのだ。



(本文)
「スクラップのJA11が出たぞ!」
エアコン修理用部品取り車を入手


 昨年、中古で購入したジムニーJA11には走行機能上の問題もなく、タイヤ・ホイールを交換するなどいくつかのカスタムを行った他は、最低限度の整備と修理をしただけで不自由なく乗ってきた。しかし、ひとつだけ気になることがあった。それは、エアコンだ。昨年の夏はエアコンの効きが悪く、ガスを2度も足しながら、騙し騙し乗っていたのだ。
 そのまま季節も冬になり、エアコンのことなど忘れていたのだが、ある日、「JA11の平成6年式モデルがスクラップに出とるぞ」という情報が入ってきた。「JA11のエアコンが見つかったら教えて」と行き着けの車屋さんに声をかけていたら、折り良く見つかったのだ。


同じジムニーJA11でも
年式によってエアコンが違う


 そんなわけで、同型車のエアコン一式が手に入ることになった。ただし年式が私のクルマより新しく、エアコンの形も微妙に違えば、使用する冷媒も違う。冷媒に関しては言えば、私の平成4年式(92年式)ジムニーが「フロンR12」を使っているのに対し、今回入手した平成6年式(94年式)では「HFC134a」を使っている。このHFC134aは、「オゾン層破壊の元凶」として指摘されたクーラー用フロンガスの代替品として用意されたもの。どうやら93年末頃にジムニーに搭載されたらしい。この際、私の愛車にもオゾン層を破壊しないシステムを付けてあげよう。


エバポレーターのフィンについた
頑固なホコリの除去に四苦八苦


 エアコンユニットの交換は、やはり素人だけでは難しい。というわけで、作業はいつもの知り合いの修理屋で行った。
 まずは自分のJA11のユニットを外す。すると、ガス漏れの原因が簡単に見つかった。ラジエターの前に付いているエアコンのコンデンサーを外してみると、コンデンサー全体が小さくカーブで湾曲し、下部のパイプから冷媒が漏れていたのだ。さらに樹脂製のグリルを外すと、その周辺にも前面から衝突した痕があり、塗装も薄く剥げていた・・・。何がどう当たったかはわからないが、前部修理の前歴のあるクルマだということが分かった。
 作業は、コンプレッサーのマグネットクラッチ部分など、難しい所はプロに任せ、その間に車内のエバポレーターを外し、そのフィンを掃除することにした。エバポレーターとは、クーラーユニットのひとつで、圧縮して液体にした冷媒を減圧させ、再び気体にする役割を持つ装置。ここで気化熱が生まれ、そこへ空気を送り込むとこで、冷風を取り出しているのだ。したがって、風の通り道となるフィン付近にはホコリが留まりやすい。電気屋としての本業から言わせてもらうと、家に付いているエアコンには清掃可能なフィルターが付いているのに、JA11にはどうしてフィルターがないのか、首を傾げてしまう。
 手始めにエアコンプレッサーを使い、フィンの反対側から高圧のエアを吹き付けてみる。しかしこびりついたホコリが吹き飛ぶ気配は全くない。次に、金ブラシや歯ブラシなどを使い、フィンの溝を履きだそうと試みるが、どんどん奥へ入っていく。結局、小さなマイナスドライバーで丁寧に履きだす方法が一番効果的だった。掃き出されたゴミの山を見ていると、季節始めにエアコンを掛けた時に、不快な臭いがするのもうなづける。最後は速乾性の洗浄液(スプレー)で隙間を洗い、エアコンプレッサーを吹かしながら綺麗にした。これで、匂いもなく、新車並みの綺麗な冷気を得ることができるだろう。


最後に真空引きをして
新しいガスを充填して終了


 エアコンの交換は、もちろんユニット丸ごと行う。冷媒ガスが違うため、流用が効かないのだ。平成6年式車の各ユニットをパッキンに至るまで、全で自分の車に移し替えた。その後は、コンプレッサーでチャージ口より真空引き※を20分強ほど行う。こちらは簡単だった。何を隠そう私は仕事上、家庭用エアコン取付けを行うことが多々あり、その時にも配管内(室内と室外を結ぶ)に必ず真空引きをしているのだ。
 新しいガスHFC134aはサービスマニュアルで調べて500g(1本200g×2.5本)を注入した。この後、配管から冷媒の漏れがないかを調べる。いったんエンジンをかけてエアコンユニット内を高圧にし、エンジン切ってすぐに洗剤を薄めた液をパイプなどの接合部分にかけるのだ。万一、漏れがあれば、洗剤が小さな泡となって見える。幸いにして新しいシステムには、冷媒の漏れはなかった。取り出しと付け替えに要した時間は約6時間。もちろん、プロにお手伝いしてもらいながらだ。
 ともかくにもエアコン修理は終了。来月は、同じ部品取り車から程度のいいリーフを移植する予定なので、インプレッションも兼ねてご報告しましょう。




上部の写真説明:エアコンのしくみ)
  ここで少しエアコンの仕組みを解説しておこう。よく例えに使われるのは注射前の消毒。肌に消毒用のアルコールが塗られた直後、その部分がヒンヤリ感じたことはないだろうか?これはアルコールが蒸発する際に、つまり液体から気体に変わる時に熱を必要とし、その熱を周囲から奪っていうから。これを「気化熱」という。クーラーはこの気化熱を利用する。図を見て欲しい。まず、霧化している冷媒がCコンプレッサーによって圧縮されながら@コンデンサーに送られ、ここで冷やされて液化する。それが、Bエバポレーター内で気化する時、その気化熱によってエバポレーターのフィンが冷やされる。そこへ送風機で風を送ることで、冷気が取り出せるというわけだ。気化した冷媒はコンプレッサーで再び気化する、といった具合に循環するシステムになっている。ちなみにAのリキッドタンクは冷媒を一時的に貯蔵する役目と、水分やゴミを取り除く役目を持っている。



(本文中の説明)
※真空引き:エアコンのユニットの中に冷媒ガスを入れる前に、システム内の空気を抜く作業。エアコンシステムの中に空気が混入すると、熱交換率が低下し、エアコンの効きが悪くなってしまう。また、空気が冷やされることで水ができ、管が詰まったり、システムが錆びてしまうという。


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2002/01/03よりカウト